前回はコーヒー豆の原価の違い、そのものの質が違うことを書きました。
コンビニコーヒー1杯100円には敵わない!何が違うのかコーヒー屋が考える
今日はその第2弾です。
2.コーヒー1杯抽出するまでの機械がすごい
①焙煎機
まず、コーヒーの生豆を焙煎して焼き豆にする機械がすごくてデカいんです。
我々、小規模な焙煎士(以下ロースター)が扱う豆の量って小さいと1kg、3k、5k。
大きくなってくると10k、20k35k・・・となるワケです。
ちなみに私が扱っているのは5k釜。多量すぎる注文だと10k釜を使います。
しかし、超大型となると70kとか120kになるワケです。しかも焙煎時間もそこまで長くなく、ムラなく綺麗に火が通る焙煎機とかあるんですね。
うちの焙煎機のメンテに来て下さる技術者の方が言っていましたが
「あんなカスみたいな豆でも美味しくできる。今の技術は凄い」とのことです。
70kの焼き豆とかもう意味が分からない。ダバーっと焼いてダバーっと覚ましてチャチャっと1kとか500gとか200gとか袋詰めする(これも機械)、とかそんなイメージでしょうか。
70kとして焙煎すると水分が抜けて目減りするので焼き豆60kとして、それを200gに袋詰めしたとすると300袋。業務用で1kgだとしても60袋。ギャフンです。
それでそんな大型焙煎機が何台もあるとしたら、本当に生産量は半端ない。
②コーヒーを抽出する機械
カップを置いてボタンをピッと押せば適正量までコーヒーが抽出される。
こちらも今の機械技術、すごくおいしく淹れるんですよね。
もともと高速のサービスエリアにあったちょっと拘りのコーヒー自販機みたいのが進化したのでしょうか。
あとは、デロンギさんとかでエスプレッソを抽出する機械なんかもありますが、今はハンドドリップで淹れたような味わいになったり、
コーヒーメーカーも「蒸らし」効果を導入したり、抽出してからの煮詰まり防止の機能がついていたり、とにかくすごいのが日々生まれているようです。
たまにお客様のご要望でコーヒーメーカーなどを探したりするのですが、とにかく日にちの間があくと「こんな凄いのできたの?」と知識のアップデートをするほどです。
こういう機械、多分水を機会に入れるという手間のものもあるでしょうが、コンビニにおいてある機械は近くに水道があったりすることから、直接つながっているのではないかと。
だから定期的にやることは
・豆をまとまった量投入する
・ある程度したらコーヒーカスを取り除く
・カップのふたやストローお砂糖などの補充
・フィルターや機械の掃除やらメンテナンス
コンビニ店員さんの業務としては上3つならそこまで負担にはならない。。。かな?
ちなみにウチは1杯ずつ豆を計量し、豆を挽き、ゆっくりハンドドリップ。。
1時間にどれだけコーヒーを淹れられるかなんて勝負したら一目瞭然の惨敗です。
でも、この時間を愛しているから止められないんですよね。
3.圧倒的な人件費削減
飲食店、店舗、もちろん会社。支出の中で大部分を占めるのは人件費。
これを機械導入により削減しているのは誰でもわかりますよね。
「でも焙煎機を動かすにはロースターが必要じゃない?」ってことになりそうですが
今の焙煎機、とても性能が良いので
「この温度になったらこういう作業をして」なんていうのがあるのですが、全部プロファイリングで記録されているんです。
だから豆が投入されれば自動的に豆は焼け、出来上がれば冷却され、という風にできるんです。
前に、副業でもしないとダメかなと思って求人誌を見たのですが、コーヒー工場のお仕事。
“誰でも簡単!コーヒー豆を機械に入れるお仕事です”
びびりました。
ちゃんとしたコーヒーを焼く仕組みが出来ていれば、コーヒー豆の知識なんかなくても誰でもできるんです。
機械が優秀だから。
今でもロースターは職人だと思っていますし、実際はそうなんですが
小型のアナログな機械を使い、設備も気温や湿度など整っていない環境であれば
同じクオリティな豆を焼くために、その時に応じた手順が求められます。
そして、どんなに良い豆が焼けたとしても、豆の中には虫食い豆やカビ豆や石ころなんかが混ざっているものもあり、それを全て取り除くハンドピックという作業があります。
それが雑味や不快な味を作らない重要でもある。
短時間で大量の焼き豆を作り出すのは不可能です。
そして、1杯100円ではコーヒーは出せないわけです。
大量生産、質を重視。コーヒーを扱う人間、会社、店、そして生産者。
それぞれ目的が違い、誇りも違い、考え方も違う。そして資本も違う。
今回この内容を書くにあたって、コンビニコーヒーを引き合いに出しましたが、
別に批判をしたいわけでもなく、我々のコーヒーを高尚なものにするとかでもありません。
私もコンビニコーヒーだけでなく、マックやその他チェーン店の100円コーヒーは飲みます。
あれはあれで便利なんです。
お砂糖やミルクを入れるのが邪道だという人もいますが
私の基本的な考えは「コーヒーは色々な楽しみ方があっていい」です。
ただ、まあ、
この業界で生き残っていくしかないわけですからね。きれいごとだけじゃなくたまに毒を吐きたくなるというか。
でも、切なる願いは
たくさんの人たちにコーヒーを楽しんでもらいたい!です。